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東京地裁 R04.10.25 芸術センター事件

商標権の使用許諾に対するライセンス料について争われた事件です。

「東京芸術センター」「神戸芸術センター」「福岡芸術センター」の登録商標の使用について、使用料の請求に関するものです。
最終的な結論としては、使用許諾契約の事実が怪しいということ、また、一部登録商標を使用しているけれども、権利濫用と判断され、使用料相当額の請求も認められなかったものです。

その中で、商標の使用について、建物の看板(入口等に表示される銘板)に使用しているのは2条3項8号の使用には該当しないという判断が出ています。
なお、WEBサイトでの使用は、使用に該当するとの判断です。

3 争点6(被告各標章を付すことが原告各商標の「使用」(商標法2条3項)に当たるか)について
原告は、前記前提事実⑷及び⑸のとおりの被告各標章を付すことが、被告の役務の「広告」(商標法2条3項8号)に標章を付すことに当たり、被告は原告各商標を「使用」していると主張する。
⑴ 被告標章1ないし3について
証拠(乙97ないし99)によれば、被告標章1ないし3が付された看板については、本件各物件の壁又は屋上に取り付けられているものであり、被告各標章以外に被告役務の内容やその宣伝文言、問合せ先などの記載はなく、むしろ、来館者等に対して本件各物件の場所を明示するための館銘板としての機能を有するにすぎないといえ、商標法2条3項8号所定の「広告」に当たるとはいえない。
したがって、被告は被告各標章1ないし3を「使用」(商標法2条3項)しているとはいえず、被告標章1ないし3の使用について不法行為責任は成立しない。
⑵ 被告標章4ないし6について
被告標章4ないし6は、被告ウェブサイトにおいて、前記認定事実⑷の記載とともに掲載されており、同掲載とともに、原告各商標の指定役務の一部(建物の貸与)と同一の、本件各物件の貸館又は貸室に係る申込みの誘引を行っているといえ、被告ウェブサイトは商標法2条3項8号所定の「広告」に該当するといえる。
したがって、被告は、被告標章4ないし6を被告の役務の「広告」(商標法2条3項8号)に付し、これを「使用」(同条3項)しているものと認められる。

平成31(ワ)2614/東京地裁 R04.10.25:判決文[裁判所PDF]

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この記事を書いた人

都内在住の弁理士。平成14年登録。
専門は特許(特にソフトウェア特許、画面UI、システム)。
LECで弁理士関係の講師。

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