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船舶事件(知財高裁R02.07.02 令和元年(行ケ)第10080号)

目次

概要

126条第5項の訂正要件は、直前の範囲で判断し、出願当初に記載していないかは関係がない。

判例

特許法126条5項は,「第1項の明細書,特許請求の範囲又は図面の訂正は,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面(同項ただし書第2号に掲げる事項を目的とする訂正の場合にあつては,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面(外国語書面出願に係る特許にあつては,外国語書面))に記載した事項の範囲内においてしなければならない。」と規定しているから,特許請求の範囲の減縮を目的とする本件訂正の新規事項追加の有無は,本件特許の登録時の明細書,特許請求の範囲又は図面を基準として判断すべきである。
「機関区域」に浸水防止部屋を設けることは,登録時の本件特許の特許請求の範囲の請求項1に記載されており,本件訂正は,請求項1を引用していた請求項9を独立形式に改めるものである。
したがって,本件訂正中,「機関区域」に係る部分は,「特許請求の範囲・・・に記載した事項の範囲内において」するものと認められる。
これに対し,原告は,審査段階で新規事項を含む補正が行われた場合,同じ表現を含む訂正は,出願当初明細書に対して,新規な事項を含む訂正となることから,このような訂正は,訂正の制度上容認されるべきではない旨主張する。
しかし,条文上,特許法126条5項の該当性の判断は,登録時の特許請求の範囲等を基準に行うべきことは前記のとおりであるし,仮に補正段階で新規事項の追加があるのであれば,現に本件の原告が行っているように,同法17条の2第3項の該当性を問題として,特許無効審判を請求すれば足りるから(同法123条1項1号),原告の主張は採用できない。

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この記事を書いた人

都内在住の弁理士。平成14年登録。
専門は特許(特にソフトウェア特許、画面UI、システム)。
LECで弁理士関係の講師。

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