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リツイート時の同一性保持権侵害(知財高裁 R04.10.19)

Twitter社に対する発信者情報開示請求に関する控訴事件(知財高裁)です。
リツイート時に画像が変わるのは、Twitterの仕様上仕方ないのでやむを得ない改変にあたるというもの。

①本件ツイート1-1に添付された画像のうち、本件投稿画像1-1-2及び1-1-3は、本件被控訴人イラスト1と乙1の2イラストを重ね合わせたものであり、また、②ツイッターのタイムライン上に表示された本件ツイート1-1における本件投稿画像1-1-2~1-1-4は、被控訴人作成のイラストの一部のみが表示されているから、それぞれ、被控訴人のイラストの改変又は切除に当たると解する余地がある。
しかしながら、①については、著作物がイラストであって重ね合わせて用いることで、引用の目的である批評のために便宜でありかつ客観性が担保できることに加え、その利用の目的及び態様に照らすと、著作権法20条2項4号の「やむを得ないと認められる改変」に当たるといえる。
次に、②についてみると、証拠(甲49、乙113~119、120の1・2、121の1・2)によると、ツイッターのタイムライン上の表示は、ツイッターの仕様又はツイートを表示するクライアントアプリの仕様により決定されるものであって、投稿者が自由に設定できるものではなく、投稿者自身も投稿時点では、どのような表示がされるか認識し得ないこと、投稿後も、ツイッターの仕様又はツイートを表示するクライアントアプリの仕様が変更されると、タイムライン上の表示が変更されること、ツイートに添付された画像データ自体は当該ツイートを閲覧したユーザーの端末にダウンロードされており、タイムライン上の画像をクリックすると、画像の全体が表示されることが認められることに照らすと、投稿者が改変主体に当たるかという点を措くとしても、タイムライン上の表示が画像の一部のみとなることは、ツイッターを利用するに当たり「やむを得ないと認められる改変」に当たるというべきである
そうすると、本件ツイート1-1の投稿による著作者人格権侵害(同一性保持権侵害)について、「権利侵害の明白性」は認められない。

判例URL:https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/469/091469_hanrei.pdf

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この記事を書いた人

都内在住の弁理士。平成14年登録。
専門は特許(特にソフトウェア特許、画面UI、システム)。
LECで弁理士関係の講師。

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