特許出願を理由に3条1項3号に該当すると判断された事例

第11類「対流型石油ストーブ」の立体的形状について位置商標を出願したところ、3条1項3号違反に該当し拒絶審決。
審決等取消訴訟を提起するものの審決維持となっり、原告敗訴となったものです。
被告(特許庁)側は、「本願形状は,原告の有する原告特許に係る発明の技術的範囲に含まれる原告特許形状とその位置及び形状が近似するから,本願商標の登録を認めることは,特許権を,その存続期間を超えて,半永久的に特定の者に独占させる結果を生じさせることになるため,自由競争の不当な制限に当たり公益に反するものであるといえる。」と主張したところ、裁判所が認めたものです。
本願商標は,前記第2の2(1)に記載の商標であり,「三つの略輪状の炎の立体的形状」(本願形状)を付する位置が特定された位置商標である。
そして,本願形状を採用することにより,対流形石油ストーブの燃焼筒内の輪状の炎が四つあるように見え,これにより対流形石油ストーブの美感が向上するから,本願形状は,美感を向上するために採用された形状であると認められる。また,原告特許は,特許請求の範囲を「1 燃焼室や赤熱体を囲繞する様に位置せしめ,かつ燃焼室の外殻を構成する燃焼筒をリング状の表面凸凹部を形成するとともに耐熱性の透明もしくは半透明物質で造製し,この燃焼筒の表面にTi,Zr,Fe等の金属もしくは金属化合物被膜を付着きせてなる暖房器。2 燃焼炎や赤熱体から発する光が,金属被膜による干渉と屈折特性により多重かつ虹状に見ることが出来る特許請求範囲第1項記載の暖房器。」とするものであって,「また燃焼筒をリング状の表面凸凹部を形成せしめたから,前記発熱・発熱部が多段に見えるのを,凸凹部がレンズ状に拡大して観者に対して大きな炎の輪を多段に確実に詔めさせる効果がある。この様にこの発明は透明もしくは半透明燃焼筒に金属被膜もしくは金属化合物被膜を形成する簡単な構造によって暖房に最も適する波長の熱線を良好に透過せしめると共に,該被膜によって燃焼炎より発生する光を干渉させて各色に色付いた沢山の燃焼炎や赤熱体の像を形成して燃焼炎や赤熱体から発生する熱線が多方向から届く様になり,見せると共にリング状の凹凸部によるレンズ効果により,暖房効果を高めるものであり,更に各色に色付いた沢山の燃焼炎や赤熱体の像は非常に美しく,視覚的な暖房効果を高め,光の交差による優れたデザイン効果を生むものである。」(4段落の8行~24行)との効果を生じさせるものであり,特許公報には別紙図面が第1図として付けられているから,本願形状は,暖房効果を高めるという機能を有するものと認められる。
そうすると,本願形状は,その機能又は美感上の理由から採用すると予測される範囲を超えているものということはできず,本願形状からなる位置商標である本願商標は,商品等の形状を普通に用いられる方法で使用する標章のみからなる商標であると認められる。
したがって,本願商標は,商標法3条1項3号の商標に該当するというべきである。
なお、3条2項に該当する旨も主張したのですが、何れも認められませんでした。
参考:知財高判 令和2年2月12日/令和元年(行ケ)第10125号
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/240/089240_hanrei.pdf