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補正却下についての不服申立

特許法において、補正却下の決定について、単独で争うことはできません。

例えば、最後の拒絶理由通知のとき、請求項1を「A+B」→「A+」に補正したとします。
ここで、補正要件を満たしていなければ、補正が却下された上で拒絶査定となります。
したがって、このときのクレームは補正前の「A+B」となっています。

ここで、審判請求をする場合、一般的には更に減縮することが多いです。
例えば、「a+b」等更に減縮して、審判請求を行います。
これは、審査官の拒絶査定が妥当であるということです。

このとき審査官の補正却下に納得できない場合、すなわち「A+b」で再び争いたいときはどうしましょう?
既に補正が却下されていますので、もう一度「A+」を記載した手続補正書を提出するという方法があります。
さて、この場合前置審査には付されるでしょうか?
同一の補正であり、いわゆる補正却下について争っているということを考えると・・・

正解は・・・

正解は・・・

考えましたか!

そう!

前置審査に付されます。
仮に補正却下が承服できないとい内容でも、審判請求時に手続補正書を提出します。
補正があったわけですから、当然前置審査になります。
なお、審判の流れとしても、この場合は「同じ内容の補正があった」として取り扱われます。
したがって、厳密に言うと「補正却下について争っている」状態ではありません。

よく試験で出る「補正却下について争う」という場合は、補正をしないで審判請求書に「補正却下されるべきではない」と記載します。
また、補正が有効な前提として審判請求書の請求の理由を記載します。

もし、審判官が補正却下について「妥当ではなかった」を認めた場合、補正却下がされていないことを前提として審理が進みます。
上記の例の場合、拒絶査定(補正却下)で「A+B」に戻っているはずです。
しかし、補正却下が取り消されることで「A+b」で審理されます。

そして、問題がなければ特許審決になりますし、新たな拒絶理由を発見した場合、再び拒絶理由の通知がされます。

例えば、拒絶理由通知に以下のように記載されます。

「審判請求人は、審判請求書において、令和4年X月X日付けでなされた補正の却下の決定に対する不服申立てを行っており、当該決定について合議体で審理した結果、当該決定は不適法なものであるから取り消されるべきものである。したがって、令和4年X月X日付け手続補正により補正された特許請求の範囲を審理の対象とする。」

このように「補正却下の決定」が取り消されたときは、最後の拒絶理由通知で補正された内容で審理が進むことになります。

滅多に「補正をしないで不服を争う」という対応はしないのですが、たまたま最近でそういう案件がありましたので、少し書いてみました。

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この記事を書いた人

都内在住の弁理士。平成14年登録。
専門は特許(特にソフトウェア特許、画面UI、システム)。
LECで弁理士関係の講師。

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