短答ゼミの申込中です。是非ご参加下さい!

質問について(H14-22-5)

今年は年末に向けて、なんだかバタバタしています。
そんな追い詰められた感じが自分は好きです。
遅くなってしまいましたが、ご質問に回答します。

ゆうしゃ
商標の36条のこれぽん3のH14-22-5について質問です。
これは内容物の表示(26条1項6号)で商標の使用ではないと思うのですが、なぜ×ですか?
[H14-22-5]商品の運搬用のダンボールの側面に、その商品の商標権者の承諾なく登録商標を付したとしても、商標権の侵害とはならない。

巨峰事件関係は、受験生にとって鬼門です。

まず、原則ですが、商品を詰めた段ボールに標章を付することは、2条1項1号の使用になります。
なので、他人が商標を付けば侵害です。

例えば、指定商品「みかん」の商標として「ベホマズン」があったとします。
この「みかん」に対して商標を使用しようとすれば、みかんにシールを貼ってもいいのですが、段ボールに「ベホマズン」と書いておくのが一般的です。

段ボールに付いている商標は、需要者は一般的には「段ボールの中味」の商標と認識するからです。

H14の問題ですが、問題の「商品」を、先程の「みかん」で置き換えてみましょう。
そうすると「みかんの運搬用のダンボールの側面に、みかんの商標権者の承諾なく登録商標を付した」と言っています。
ここで登録商標は「ベホマズン」です。
侵害となります。

さて、巨峰事件は例外が2つあります。
1つは指定商品が「段ボール」の場合です。
この場合、需要者は「ベホマズン」は「段ボールのブランド」とは思いません。
したがって、指定商品「段ボール」については、商標を使用していない=26条1項6号に該当するということになります。

もう1つは「商標が普通名称化されている場合」です。
例えば、段ボールに「サツマイモ」と表示しても、特定の商標とは思いません。
これは「サツマイモ」が普通名称化しているためです。
(こちらが第2巨峰事件です)

結論はそれほど難しくないのですが、受験生はかなり引っかかる問題です。

追記:別の人から質問があったので。

ゆうしゃ
「段ボールに付いている商標は、需要者は段ボールの中身の商標と認識する」のに、内容物表示にならないのが何故なのかがわからないです。

まず、上記事例なのですが、段ボールに付すので、原則「内容物表示」になっています。
それは巨峰事件も同じで、段ボールに書いてある商標は内容物の表示です。
なので、使用する商標は、全て原則内容物表示です。

問題は登録商標との関係で問題になります。
登録商標が「内容物」の指定商品であれば、商標権侵害です。
登録商標が「それ以外」の指定商品であれば、概ね商標権侵害にはなりません。

追記2:

難しいのが、「原則」「概ね」と書いてあるように、更に例外があるからです。
(引っ越し屋さんが引っ越しのときに使う段ボール等)

結局、「何の商品(役務)」に使っているのかを、需要者の感覚で考えることが重要です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

都内在住の弁理士。平成14年登録。
専門は特許(特にソフトウェア特許、画面UI、システム)。
LECで弁理士関係の講師。

目次