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質問について(拒絶理由に対する応答について)

ゆうしゃ

夜分遅くにすみません。
気になって睡眠が浅くなりそうなのでご質問させてください。
これも試験では重要でないことかと思いますが、頭に入れてスッキリ出来たらと思います。
特許法では拒絶理由通知に関して、最初や最後などの定義がありましたが、意匠や商標では以下の理解で良いでしょうか。
①拒絶理由を通知した後、意見書や手続補正書が出されてもなお通知した拒絶理由が解消されていない場合には拒絶査定になる。(特許と同じで2回同じ注意はない)
②先に通知した拒絶理由が解消された上で他の拒絶理由が生じた場合にも、最後の拒絶理由通知という定義や場合分けはなく、再度拒絶理由通知がされる。
③定められている期間の間であれば、何回でも拒絶理由通知→補正のやりとりができる。
※商標の場合、原則として発見した拒絶理由は全て通知する。
この辺りは詳しく書かれておらず、理解が合っているか確認したいです。
ご回答いただけますと幸いです。よろしくお願いします。

眠れないと困りますので、質問に回答したいと思います。

条文上は、上記のご質問の内容の理解でも問題ありません。
一応、補正については、特許と異なり、応答期間には限られず、補正をすることができます。
(ただ、拒絶理由通知に示された意見書提出期間後に応答したことはないです)
上記理解であっていると思っていただいてもいいと思います。


以下、実務的な話を少ししておきます。

テキスト等で、この辺の記載がほぼない(論文試験でも出題がない)というのは、実務上、意匠と商標は内容的に何度も拒絶理由が生じるということが起こりにくいためです。

まず、意匠法については、拒絶理由を解消するために意匠自体を補正を行うという対応はほぼ取らないです。
(9条違反,10条違反に対応して願書を補正し関連意匠を切り替えるのはあります)

意匠については補正はせず、意見書で非類似の主張、創作は非容易である主張をし、認められるかどうかです。

ここで、特許の場合、審査官が発明の認定が異なっていることがあります。
そうすると、本願発明とは少し違う引例がきます。
その場合、意見書で「この発明は審査官理解違っているよ!」と主張します。
審査官が認めてくれれば、こちらの主張した発明の内容で再審査されます。
そのため、再度文献調査等がされることになり、新たに拒絶理由が通知されます。

さて、意匠は外見になります。
よほどのことがないと認定が違うということもないです。
したがって、意匠が違ってたよ!ってことで、新たな引例が再サーチされるというのはレアだと思います。

また、商標は商標自体の補正は原則できません。
したがって、補正するのは商品、役務です。
これは、減縮・削除しかできませんので、権利範囲は狭くなる一方です。
したがって、これにより3条、4条について新たな拒絶理由を生じるということも有りません。

また、意見書の内容で主張した内容に基づいて、拒絶理由を通知することもありません。
例えば、図形A+文字Bの商標に対して、審査官は文字Bを要部と認定し、文字Bに類似する先願商標に基づき4条1項11号で拒絶理由を通知したとします。
出願人は意見書で商標の識別力は図形Aにあると主張しました。
なるほど!と、審査官は、今度は図形Aを要部に認定しました。
そして、図形Aに類似する先願商標の拒絶理由を通知する・・・ということには原則なりません。

図形Aの先願商標があるのであれば、最初の拒絶理由通知段階で通知すれば済む話です。
(具体例出さないと解りにくいところですが、ここを詳しく書くとかなり大変なので、省略します)

ということで、話が脱線しましたが・・・・

・質問の通り、条文的には新たな拒絶理由が生じれば、拒絶理由が再度通知されるということになります。
・また、少なくとも「補正により拒絶理由が生じる」場面はないので、「最後」の分類は不要だと思います。
・実務上は複数回の拒絶理由の応答というのは、(可能性がゼロとは言いませんが)通常は想定する必要がない程度というレベルになります。

とおさえてもらえれば十分です。

ちなみに、意匠・商標で2回目の今日説理由は絶対にないのか?と言われるとそんなことはないです。
例えば、商標の最初の拒絶理由通知で指定商品を減縮補正したところ、補正後の指定商品に誤記があった場合、再度6条違反の拒絶理由通知がくる場合があります。
マニアックなところを話すのも面白いのですが、とりあえず、条文上の原則と、実務上の原則とを押さえておけば十分だと思います。

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この記事を書いた人

都内在住の弁理士。平成14年登録。
専門は特許(特にソフトウェア特許、画面UI、システム)。
LECで弁理士関係の講師。

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