Lゼミが今年も始まりました

損害賠償の質問について

損害賠償に関して質問があったのでお答えします。

ゆうしゃ
制度イメージ構築講座特許・実案第11回の損害賠償額の計算について
特許権者側は6000個作れるけど4000個しか売れていない、
侵害者側はCMなどで広告しうまく売っていたのでたくさん売れていたが
そういうのが無ければ1000個分は売れなかった(特定数量)
と考えると特許権者側の損害は
6000-4000=2000個
のうち特定数量の1000個を除いた1000個の売り上げになるように(自分には)思えます。
ですが普通に売っている4000個分も入れている理由をどういう風に考えればいいか教えていただけないでしょうか。
4000個は売れてるけれどその分も安く売らないと売れなかったのでその安くした分のお金も足さないといけない、
なら納得できますが、そういう計算でもなさそうです。

損害賠償の計算は中々難しいところです。
講義での事例は忘れているので、質問に基づいて回答します。

大切なことは、まずは「侵害者が販売した数量」です。
これが損害賠償請求の基本です。今回は「6000個」としましょう。

次に、「実施可能数量」です。
これは、特許権者が「製造可能な量」です。
今回は「4000個」だとします。
なお、ご質問で「特許権者は6000個作れるけど4000個しか売れていない」とあります。
そもそも特許権者が販売した数量はここでは関係ありません。
また、6000個作れるのであれば、それは実施可能数量は6000個になってしまいます。
なので、工場の生産能力として、どんなに頑張っても4000個しか作れない。
なので、侵害者が販売したとしても、本来特許権者が作った場合には4000個が上限ではないか?
となります。

特定数量について何かは少し置いておきまして、
今回「販売することができなかった事情」を1000個とすれば
上述した4000個から1000個を除外できるということになります。
これは侵害者側から「4000個っていうけど、特許権者は1000個分は売れないだろ!」という主張です。

そうすると、101条1項1号では、3000個分の計算、2号は残りの3000個の計算になります。

特許権者が販売している数がここでは議論にはなりません。
侵害者が販売している数が問題になります。
(ご質問では、その2つが混ざっている状態です)

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この記事を書いた人

都内在住の弁理士。平成14年登録。
専門は特許(特にソフトウェア特許、画面UI、システム)。
LECで弁理士関係の講師。

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