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法改正と4条1項8号

そういえば、日経新聞に法改正をするかも?って情報が上がっていましたね。

日本経済新聞
氏名含む商標も登録可能に 特許庁、法改正で要件緩和へ - 日本経済新聞 特許庁は氏名を含む商標の登録を可能にする法改正を進める。現在は氏名が入った商標を一律で登録拒否している。商標に含まれる氏名に周知性がなければ、原則登録を認める。...

法改正がどの程度反映されるか解りませんが、商標法4条1項8号の改正が行われるのではないか?ということです。
その他にもいくつか改正があるかもしれませんね。

2022年の国会に出したとして2023年成立、2024年施行?になりそうですね。
とりあえず来年の試験には影響はなさそうです。

ただ、4条1項8号については昨年から色々と論点があったところです。
最も話題となった「マツモトキヨシ事件」(R03.08.30知財高裁)について、簡単に記載しておきます。

商標法4条1項8号が,他人の肖像又は他人の氏名,名称,著名な略称等を含む商標は,その承諾を得ているものを除き,商標登録を受けることができないと規定した趣旨は,人は,自らの承諾なしに,その氏名,名称等を商標に使われることがないという人格的利益を保護することにあるものと解される(最高裁平成15年(行ヒ)第265号同16年6月8日第三小法廷判決・裁判集民事214号373頁,最高裁平成16年(行ヒ)第343号同17年7月22日第二小法廷判決・裁判集民事217号595頁参照)。
このような同号の趣旨に照らせば,音商標を構成する音が,一般に人の氏名を指し示すものとして認識される場合には,当該音商標は,「他人の氏名」を含む商標として,その承諾を得ているものを除き,同号により商標登録を受けることができないと解される。
また,同号は,出願人の商標登録を受ける利益と他人の氏名,名称等に係る人格的利益の調整を図る趣旨の規定であり,音商標を構成する音と同一の称呼の氏名の者が存在するとしても,当該音が一般に人の氏名を指し示すものとして認識されない場合にまで,他人の氏名に係る人格的利益を常に優先させることを規定したものと解することはできない。
そうすると,音商標を構成する音と同一の称呼の氏名の者が存在するとしても,取引の実情に照らし,商標登録出願時において,音商標に接した者が,普通は,音商標を構成する音から人の氏名を連想,想起するものと認められないときは,当該音は一般に人の氏名を指し示すものとして認識されるものといえないから,当該音商標は,同号の「他人の氏名」を含む商標に当たるものと認めることはできないというべきである。
(中略)
同号は,出願人の商標登録を受ける利益と他人の氏名,名称等に係る人格的利益の調整を図る趣旨の規定であり,当該音が一般に人の氏名を指し示すものとして認識されない場合にまで,他人の氏名に係る人格的利益を常に優先させることを規定したものと解することはできないことに鑑みると,本願商標に接した者が,「マツモトキヨシ」の言語的要素からなる音をドラッグストアの店名又は企業名としてのみ認識することがない以上は,本願商標が同号の「他人の氏名」を含む商標に該当するとの解釈は妥当とはいえない。

8号については論文として出題があってもおかしくないと思いますので、一応記載しておきます。

 

 

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この記事を書いた人

都内在住の弁理士。平成14年登録。
専門は特許(特にソフトウェア特許、画面UI、システム)。
LECで弁理士関係の講師。

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