意匠についての質問

意匠法は中々難しいところがありますね。
ただ、基本的なところをしっかり理解しないと、あとでごちゃごちゃになるのが意匠法の怖いところです。

質問がありましたのでお答えします。

ゆうしゃ

講義で、「願書の物品」と「権利範囲の物品」を分けて書かれていますが、それはなぜでしょうか?

願書の物品というのは、願書に記載する物品になります。
これは、意匠登録を受けるときには「何について意匠を登録するか?」ということで必ず書きます。
そして、これは概ね「店で売られる物」のようなイメージです。

次に、「権利範囲の物品」というのは、正しくは「意匠登録を受けようとする」部分の物品になります。
講義ではわかりやすく権利範囲の物品=特許でいうところのクレームみたいなイメージなります。
これは図面で表す感じで、例えば実線で「ここが権利で欲しい!」と表します。

通常は、「願書の物品」=「権利範囲の物品」になります。
ただ、例外的に部分意匠のときだけずれてきます。
例えば、願書には「傘」と書いているのですが、権利範囲は「傘の開く部分(すなわち持ち手以外の部分)」を表す場合等です。この2つを意匠登録出願の場合は特定する必要があります。

ゆうしゃ

意匠の類否判断では、物品の類否と形態の類否をみていく必要がありますが、物品の類否判断で、物品を比較するときは、必ず「願書の物品」で比較しますでしょうか?

上述したように、願書の物品と、権利範囲の物品をそれぞれ見る必要があります。
なお、全体意匠だけを考えれば、そこは本来意識しなくても大丈夫です。
ただ、このように理解しておくと、後で部分意匠だからと、考え方を切り替えずに済むメリットがあります。

ゆうしゃ

過去問H21-11-ハ(意匠3条これポン2)では、意匠イと意匠ロは、願書の物品が非類似(イはのこぎり、ロはのこぎり用柄)だから、意匠全体として非類似で、3①3では拒絶されないと思ったのですが、解説は「物品の用途及び機能が異なる」となっているのはなぜでしょうか? 願書の物品を非類似と判断する際に、物品名が文言上相違してたら(のこぎりと、のこぎり用柄)非類似と判断してはだめでしょうか?

今は多分その理解でもいいのですが、勉強が進んでくると混乱すると思います。
それは、イが部分意匠だからです。
ある程度勉強が進むと多分その考えにならないのが勉強の面白いところですね。

ゆうしゃ

入門講座の意匠「3条、3条の2、9条の関係」の表で、出願意匠と同一・類似かを比較するときは9条と、書かれていますが、必ず9条になりますでしょうか? 3条①(新規性)も言えるかなと思ったのですが、先後願の話のみになりますでしょうか?

出願意匠と自分が行っているときは、公知意匠ではない状態です。
当然出願意匠も登録査定になれば登録公報が発行されます。
この場合は公知意匠として考えてください。

この辺は考え方がまだまだ難しいと思います。
落とし穴がたくさんあるぞ!と思いつつ、勉強を進めて頂ければ十分だと思います。

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この記事を書いた人

都内在住の弁理士。平成14年登録。
専門は特許(特にソフトウェア特許、画面UI、システム)。
LECで弁理士関係の講師。

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