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地域内アウトサイダーについて

ゆうしゃ
例えば「天童さくらんぼ」を天童市産のさくらんぼに使用していた時に、これに類似する商標権を有する他人から差止請求されたときに、26①2の商標権の効力が及ばない範囲の抗弁をすることは可能でしょうか。

いわゆる「地域内アウトサイダー」に関する質問になります。

地域内ではないのですが、これが争われた事件としては「博多織」事件があります(福岡高裁H26.1.29/平25年(ネ)13号)。

地域団体商標「博多織」の商標権者である博多織工業組合が「博多帯」を使用していたN社と争った事案です。
ここで、N社は「26条1項2号に該当し、商標権の効力が及ばない」ことを争点の1つとして主張しています。
この主張は、高裁では認められませんでした。
理由としては、自他商品識別機能を発揮している状態の使用は「普通に用いられる方法」には該当しないと判断したためです。

ということで、ご質問の内容ですが、質問内容だけでは判断できませんが、一般的に商標として使用している場合を想定していると思いますので、抗弁を主張するのは難しいと思います。
(仮に商標として認識出来ないのであれば26条1項6号の論点も出てしまいます)

イ 被控訴人標章の使用の商標法26条1項2号該当性
(ア)被控訴人標章を見た場合、取引界では、「博多帯」の名称は、特定の業務を営む被控訴人から供出された商品を指称すると理解され、出所表示機能があり、自他商品識別機能も備わっていることが明らかである。したがって、被控訴人標章の「博多帯」は普通名称ではない。
(イ)地域団体商標権に関して、商標法26条の適用に関する特別な規定がないことから、被控訴人標章の使用につき商標法26条1項2号が適用される。すなわち、被控訴人が地域内アウトサイダーであっても、地域団体商標と類似の標章を普通に用いられる方法によって使用する限りは、商標法26条1項2号に該当する。
そして、「普通に用いられる方法」とは、当該商標の位置、大きさ等から、それが自他商品識別機能を発揮する態様で使用されているか否かにより個別具体的に判断すべきところ、本件において、帯に標章が付される一般的な場所に「品質表示の証紙」と「スコッチガードの証紙」との間に、これらの証紙の数倍の大きさで被控訴人標章が付されている。そして、被控訴人標章の使用は、被控訴人協同組合に属する業者が製造したという自他商品識別機能を発揮しているので、「普通に用いられる方法」とはいえない。

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この記事を書いた人

都内在住の弁理士。平成14年登録。
専門は特許(特にソフトウェア特許、画面UI、システム)。
LECで弁理士関係の講師。

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