質問について(解消と回避)

質問があったのでお答えします。

ゆうしゃ

本日返却していただいた答案で「拒絶理由が解消する」という表現に対して「ちょっと気になる」とコメントいただきました。
レジュメを見ると「回避できる」と記載されていたので、コメントいただいた意図はこう表現する方が良いということだと思ったのですが、正しいでしょうか。
一方、他のレジメでは「無効理由を解消して」という表現も見るのですが、「回避」と「解消」はどのように使い分けたら良いのでしょうか。

そこまで厳密ではないのですが、自分とかは少し気にしています。

「解消した」というときは、その状態が「あった」ことが前提です。
例えば、拒絶理由が通知された後に補正したとします。
これは一度、拒絶理由が通知されている訳です。
補正することによって、拒絶理由が「解消」しました。

次に「回避した」というのは、そもそもその状態にならなかったということです。
例えば、発明を自ら公開した場合を考えます。
同じ発明をそのまま出願してしまうと特許法29条1項各号により拒絶理由がやってきます。
そこで、新規性喪失の例外の手続きをすることで、拒絶理由が来ないようにする、
すなわち「回避」したわけです。

さて、無効理由の場合、登録になって既に無効理由が存在している訳です。
これを訂正によって取り除き、無効な状態を「解消」することになります。

特許と関係のない例ですと、「事故を回避した」という場合、これは「事故」は起きなかったわけです。
事前に避けられたというイメージになります。

それに対して、「渋滞が解消した」という場合、これは「渋滞」が起きている訳です。
起きている渋滞がなくなったというイメージになります。

ちなみに「渋滞を回避した」も言いますが、このときの実際意味は「甲が」渋滞を回避した訳です。
そうすると、甲自体は渋滞にははまっておらず、渋滞が甲には起きていないということになります。

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この記事を書いた人

都内在住の弁理士。平成14年登録。
専門は特許(特にソフトウェア特許、画面UI、システム)。
LECで弁理士関係の講師。

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