猛暑襲来

毎日暑いですね。
そういえば、最近の教科書は「元寇」と言わず、「蒙古襲来」というそうです。
歴史って呼び方が変わったり解釈が変わったりして色々と面白いですよね。
自分は歴史好きですので、歴史の話を聞くとワクワクします。

さて、ブログの更新が久しぶりなので、最近の話をしつつ、質問に答えます。
先に真面目に質問からお答えします。

ゆうしゃ

特許法29条の2 これポン9の過去問[R5-特20-2]について質問です。
確かにBはAよりも先願ですが、Aの公知行為によりBは29条1項3号となり拒絶されるため、Aを妨げるものにはならないのではないでしょうか?なぜ、「AはBによる拒絶の理由を有しない→〇」とはならないのでしょうか?(確かに29の2でAはBにより拒絶理由を有するのは分かります。ですが、そもそもBには拒絶理由があるため、Aの妨げにはならないのではないでしょうか?)

以下過去問です。

[R05-特20-2]甲は、発明イをし、令和2年12月10日に、発明イについてインターネットを通じて公開し、令和3年3月22日に、発明イについて特許出願Aをし、同時に新規性の喪失の例外の規定の適用を受けようとする旨を記載した書面を特許庁長官に提出し、その出願の日から30日以内に、発明イが新規性の喪失の例外の規定の適用を受けることができる発明であることを証明する書面を特許庁長官に提出し、その後甲の特許出願Aは、出願公開された。乙は、同一の発明イについて自ら発明をして、令和3年2月15日に特許出願Bをし、その後、乙の特許出願Bは、出願公開された。この場合、発明イについて、甲の特許出願Aは乙の特許出願Bによる拒絶の理由を有しない。また、乙の特許出願Bはインターネットを通じて公開された発明イによる拒絶の理由を有する。

さて、この場合、乙の出願Bは、令和3年2月15日に出願しています。
しかし、その前に甲が令和2年12月10日に発明イについて公知にしていますので、新規性がありません。
したがって、拒絶となります。

次に、甲の出願Aなのですが、自分の公知行為との関係は30条の適用でスルーです。
しかし、甲の出願Aは、令和3年3月22日に出願しています。
そうすると、乙の出願Bが公開されてしまうと、29条の2で拒絶となってしまいます。

本問の場合は、両方とも登録を受けることができません。

さて、ご質問の意図なのですが、「甲さんがかわいそうじゃないか!」という気持ちがあるのかなと推察しています。
この手の問題では、そのように読む受験生が多いです。
甲さんの立場からするとそうなのですが・・・

ここで大前提なのが、

「公知の発明は登録を受けられない!」

ということです。
それは、特許発明が公開の代償として付与されるからです。

しかし、これを全部キッチリ適用するとかわいそうなために、30条の例外があります。
30条は例外ですので、例外の適用は限定的です。
よく、受験生に多いのが「ここまで認めてもいいのでは?」と温情の判断をしがちです。
しかし、「例外」は限定的に適用して下さい。

ここでは、令和2年12月10日に公開した発明をしって、実施をした多くの第三者がいます。
その人達をしっかり保護する必要があるのです。
冷たい言い方ですが「30条なんて使わなければよかったじゃないか!」って位の気持ちです。

ちなみに、実務上は、外国出願(例えば、中国出願等)で制約が係る場合があります。
なので、公知になることが解っているのであれば、
30条の適用を使わず、無理してでも公知前に出願しておくことが大切です。

短答試験で回答と感覚がずれているときは、見方の立場が違うことが多いです。
「もし、これが逆だったら誰が損するんだろう?」って観点で見るといいかもしれません。

と、関係ない話をしようと思ったら長くなりそうなので、記事を分けます。

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この記事を書いた人

都内在住の弁理士。平成14年登録。
専門は特許(特にソフトウェア特許、画面UI、システム)。
LECで弁理士関係の講師。

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