α1さんから質問がありましたので、お答えします。
8条の適用について
頻度多くて申し訳ないのですが、質問お願いします。
また8条関連の質問になります(意識しているせいか余計に苦手意識があります…)
商標法は、論文で審査基準から出ているなと思うところが多いですが、
例:立体商標である旨を記載して、立体商標と認識できないときは3条1項柱書違反
同一人の同一商標は3条の趣旨に反するとして拒絶
8条の拒絶理由通知については、どれくらい審査基準を踏まえるといいでしょうか。
というのも、審査基準では、
「出願が同日に相互に同一又は類似の関係にある他人の出願と競合したときは、該当す るすべての出願に対し、協議命令と第8条第2項及び第5項の拒絶理由の通知を同時に 行うこととする。」
と記載があって、協議命令(8条4項)+2項+5項の拒絶理由が同時に出るとなっています。
H24 問1 設問2 で、「甲の出願に関し拒絶の理由と想定される事項について該当すると考えられる条文を挙げ」という問題があります。ここで、8条2項は挙がっていますが5項は挙がっていません。
R3の問題と違って、出願人間の承諾については考慮しないという注意書きもないです。
ちなみに、先生のこれ問p238では8条5項も挙がっていたので、ほっとしました。
(1)ただ、この同時に通知されるという実際の運用は、試験では使わず、
2項の拒絶理由に該当して→協議命令が出されて→不調不能だった場合はくじを引いて→5項の拒絶理由に該当する
という順序だと思っていれば良いでしょうか。
まず、審査基準から出題されているのは、それ程多いという心証ではありません。
審査基準が根拠となるのは、意匠法の方が圧倒的に多いです。
例で書かれているのは、多分、自分の過去問の教材であっても、平成14年から1回でているかどうかの論点ですので、多くない状況です。
なお、講義で扱っていない審査基準の規定は、そもそも論文で出題されたら他の受験生も記載ができませんので、特に問題有りません。
次に、商標法において、審査官は拒絶理由通知は、最初に通知できるものは全て通知してきます。
したがって、ご質問にあるように8条2項、5項の流れで最終的に拒絶査定の条文が適用されますが、全て拒絶理由通知には記載されます。
(2)よくある論文の問題で、「拒絶理由と想定される条文」を挙げるというのがありますが、
①拒絶理由通知がされる条文
②拒絶査定の時に理由となる条文
どちらを書くつもりでいるのがいいのでしょうか。
①なのであれば、8条2項も8条5項もだし、
②なのであれば、8条2項か8条5項のどちらかになると思います。
問題によりますので、何とも言えませんが、原則としては2の方になります。
基本的には拒絶査定となる条文を書けば十分です。
ただ、想定される拒絶理由と問われたときは、1で書く場合もあります。
この辺は、論文試験は問題のバランスが重要になってきます。
また、論文試験は、レジュメが正解というより、多くの受験生が記載すべき内容を書くというのが大切です。
ちなみに、「多くの受験生が書く内容」というのは、過去問のレジュメの記載と考えてOKです。
(概ね、どこのレジュメも上手くできています)
試験での合否のポイント
先生は論文ではどちらの認識で拒絶理由をあげていましたか。
あえてここだけ分けて記載しました、論文試験の合格を考えたとき、上記質問内容は殆ど影響が無い状況です。
それは、論文試験で点数が取れない原因が、上記条文の細かい違い(もっと言えば、条文番号の記載がなくても)それ程大きな失点にはつながらないからです。
それでは、論文試験の合否を分けるのはどこかというと、「項目があがるか、あがらないか」です。
論文試験は、トリガーをみつけ、項目を挙げられるか?というところが必須です。
そして、合格点に行かない答案の殆どが「項目が挙がらなかった」という理由になります。
逆を言えば、項目さえ挙がれば、合格ラインで十分勝負できることになります。
細かい表現にこだわってしまうと結局大項目、中項目が挙がらないということになります。
過去問について、項目出しをすると、多分5周位回しても項目は挙がらないと思います。
それくらい項目を出すのは難しいと思います。
なお、過去問を勉強したときに、「項目は概ね出るようになっている」と感じる場合は、かなりできている可能性も否定できませんが、何か見落としている可能性が高い(正常性バイアスがかなり働いている状態)と思います。