解答遅くなりました。難しい問題について質問がありましたので解答します。
短答これ問特44条レア問にある[H29追ー特10ー3]について質問をさせてください。
A→(国優)→B→(分割)→Cとなっていますが、Cが生き続けていても、Bの優先権を取り下げれば、Aは取下擬制にはならないということでしょうか?
Cも大元はAなので、Bの優先権が取り下げとなっても、ユーザーフレンドリの適用でBの優先権の効果が引き継がれているであろうCが健在の場合、Aもみなし取り下げになりそうな気がするのですが、そうではないということでしょうか。
ちなみに、問題文のとおり、Bの優先権を取り下げた場合に、 Cのイの出願日はAの出願日とみなされるのでしょうか? それとも、ユーザーフレンドリの効果が無くなるので、 Cが実際に分割出願された日となるのでしょうか?
本問では、出願Bは、国内優先権を主張しています。
そして、その出願Bから分割出願Cがされております。
ここで、ユーザーフレンドリーの規定が働きます。
これにより、分割出願Cにおいて「もとの特許出願について提出された書面又は書類」は新たな出願と同時に提出されたものとみなされています。
これにより、分割出願Cは、出願Aから優先権が主張されている状態となっています。
さて、このとき、出願Bについて、優先権主張を取り下げてしまった!というのが本問です。
すなわち、子出願Cがあるにも関わらず、出願Bの優先権主張はなくなってしまったわけです。
さて、ここで青本P.193には、以下の記載があります。
<提出された書面又は書類>分割後であっても、提出期間内に提出されたものも提出された書面又は書類に含むが、先の出願から経済産業省令で定める期間を経過するまでに取り下げられた国内優先権の主張(42条3項の規定に基づき取り下げられたものとみなされる場合を含む。)に係る書面は含まれない。
この記載では、先の出願から経産省令経過するまで(1年4月以内)に優先権主張が取り下げられたら、そのときの書類はユーザフレンドリーの規定が効きませんと記載があります。
すなわち、分割出願において、優先権はなくなってしまうわけです。
本問の場合は、Bの優先権主張を取下げられます。
そうすると、子出願においては、BのAを優先権の基礎にしましたよ!って書面は提出されないことになります。
したがって、分割出願Cの優先権主張もなくなるため、Aの出願が残ることになります。
なお、通常であれば国内優先権主張は取り下げないでしょう。
国内優先権主張を取り下げたい=先の出願を残したい場合です。
そうであれば、Bの優先権主張を取り下げれば、Cの優先権主張も取下げになり、無事にAが残った方が親切です。
Cがうっかりあったせいで、やっぱりAは消えてしまいました!というほうが悲しいです。
もしCの優先権を残したいのであれば、Bの優先権主張だけを取り下げるメリットがありません。
このように、どちらかというと、出願人には優しい規定になっていると思います。