質問がありましたのでお答えします。
特53条これポン1の[R02-特17ー2]にがなぜ補正却下となるのか教えていただけないでしょうか。体型別過去問や審査基準等を読んでみて「直列的な付加された…」はだめとあるのですが、具体的なイメージが湧きませんでした。どうかよろしくお願いいたします。
質問回答できておらず申し訳ありません。回答遅くなりました。
今回の過去問は以下の通りです。
[R02-特17-2]拒絶理由の通知を最初に受けた際、この拒絶理由の通知で指定された期間内に、特許請求の範囲について、発明特定事項イ及びロを追加して減縮する補正をした。これに対し、発明特定事項イを追加する補正が特許法第17条の2第3項の要件(いわゆる新規事項の追加の禁止)を満たしていないとして最後の拒絶理由通知を受けた。特許請求の範囲について、この最後の拒絶理由通知で指定された期間内にした発明特定事項イを削除する補正は却下されることはない。
補正却下の問題は難しいのですが、必ず、特17条の2第3項~第6項い該当するかどうかを判断するようにして下さい。結構この点が曖昧に考えている人が多いです。
さて、今回の質問については、おそらく「請求項の削除」と、「発明特定事項の削除」とを混在しているのが原因となるものだと思われます。
今回の事例では「最後の拒絶理由通知」を受けていますので、補正は特17条の2第5項を目的とするものでなければなりません。ここで、出願人は「発明特定事項イを削除する補正」をしようとしています。
この発明特定事項イを削除する補正ですが、「請求項を削除」する補正ではありません。
請求項を削除する補正は、イ及びロを全て削除する補正です。
今回は発明イのみを削除すること、すなわち限定していた発明特定事項が減ることになります。
すなわち、これは発明が「拡がること」になります。
例えば、ラーメンに「イ:パクチー」「ロ:唐辛子」が追加されているものがあるとします。
このラーメンから「パクチー」が取り除かれれば、その分クセがなくなります。
クセがなくなる=万人受けする=発明が拡がるというようなイメージです。
なお、この辺の関係については、質問が多いところであるので、入門講座のところで使った穴あきレジュメの「特許出願」「特許請求の範囲」の「「削除」について」の場所でも説明しています。
さて、そうすると、発明が拡がっていますので2号の限定的減縮には該当しません。
また、4号の明りょうでない記載の釈明は、主に36条違反に使えるものなため、17条の2第3項違反で使うことができません。また、当然「誤記」で押しきれるものではありません。
そうなると、17条の2第5項の要件を満たすことができず、補正が却下されるということになります。
以下余談です----
実務上、このような場面はままあります。
別に明細書にない発明を追加したというより、ギリギリな補正案を提出したところ、上位概念化しすぎているという場面が多いです。
発明イが新規事項というのは、出願当初の明細書に記載がないということになります。
これは見方によると、追加された発明イが明細書でサポートされていないということです。
したがって、審査官によっては(とても優しい審査官は)、36条6項1号違反を併せて通知してくれるときがあります。36条違反を指摘して頂ければ、17条の2第5項第4号を目的とする補正が可能です。
以前審査官に「このような運用の違いがあるのはナゼか?」と聞いたことがあります。
その審査官は「そのようなとき、自分の場合は36条を併せて通知している」とのことでした。
「可能性としては、特許査定までの道筋が見えている案件かどうかで分けている審査官がいるのかもしれない」とのことでした(その審査官個人の見解です)
このように、問題文のような17条の2第3項のみの拒絶理由のときは適法にイを削除することができません。
したがって、イを削除した請求項を作成するためには、分割出願をすることになります。
(論文であればそのように回答して下さい)
ただ、17条の2第5項は拒絶・異議・無効理由ではありません。
ということは、仮にイを削除したとしても審査官が認めれば補正は通ります。
あとは発明の内容と、弁理士の腕次第ということになります。