「のこぎりの柄」について、世の中真剣に考えているのは弁理士受験生くらいではないか?といつも思っています。
質問に対する回答です。
これポン2(H21-11-ハ)公知意匠「のこぎり用柄」、「のこぎり」の柄の部分意匠←3条1項1号に非該当
二問の違いは公知意匠が出願意匠よりも広いか否かですか?
物品の用途及び機能から考えるなら鍋ぶたと摘みも異なるのでは?!(部品か部分かの違い?)となって混乱しています。。回答お願いします。
まず講義で説明しているように、先の意匠が「公知意匠」か「出願意匠」かで考え方が変わります。
「公知意匠」の場合、物品はありません。
物品は、審査官や、第三者が認定していきます。
ということは、図面から解る範囲は全部の物品が認定可能です。
例えば、「鍋ぶた」が公知の意匠であれば、
・鍋蓋全体
・鍋蓋つまみ
・鍋蓋パッキン?
・鍋蓋空気穴?
といったものがあらゆるものが「公知意匠」です。
ここで、審査対象となっている意匠は物品「鍋蓋の摘まみ」です。
こちらは出願意匠ですので、絶対に「鍋蓋の摘まみ」と比較することになります。
先の意匠は「鍋蓋」ですが、「鍋蓋の摘まみ」も含まれています。
したがって、3条1項に該当します。
さて、次に「のこぎり用の柄」が先の意匠=公知意匠の場合です。
この場合「のこぎり用の柄」の部分だけが公知意匠です。
それ以上公知になっている部分はありません。
例えば、のこぎり用の柄にある持ち手グリップ等は公知意匠です。
しかし、柄の部分だけです。
のこぎりについては公知になっていません。
さて、次に審査対象となっている物品は「のこぎり」です。
このとき、まず出願意匠の物品は「のこぎり」ですので、先の公知意匠には「のこぎり」が必要です。
しかし、今公知になっているのは「のこぎり用の柄」であって「のこぎり」ではありません。
したがって、3条1項には該当しません。
なお、講義で説明する権利対象(物品部分)は出願意匠は「のこぎり用の柄」です。
したがって、先願の公知意匠と一致します。
しかし、部分意匠は「願書の物品」も認定しなければなりません。
本問では物品が「のこぎり用の柄」と「のこぎり」で一致しません。
この辺かなり難しいところで、先輩受験生はほぼ「はまるところ」と言っても過言ではありません。
割と講義で説明をしているところなのですが、理解するのには時間がかかると思います。