お久しぶりです。6月は少し時間があるはずなのですが・・・中々時間が取れていません。
ということで、ご質問についてぼちぼち返していこうと思っています。
講座の中でも説明がありましたが、うまく理解できません。
なぜ出願Cは29の2の地位に関しては出願日が遡及しないのに(29の2ではBを拒絶しないのに)、39条の地位に関しては出願日が遡及する(出願Bを拒絶できる)のでしょうか。
分割出願の出願日は、他の出願を排除するためには遡及しない、と仰っていましたが、それだと39条の場合も遡及しない気がしてしまうのです。なぜBは29の2ではCにもとづいて拒絶されず、39条ではCにもとづいて拒絶されるのでしょうか。一度説明していただいた箇所について長々と質問してすみません、お答えいただければ嬉しいです。
まず、原則は分割出願は遡及するのが正しいです。
色々な規定があるのですが、
原則→例外
の理解は重要です。この場合、分割出願は遡及することが原則と理解して下さい。
次に、29条の2が遡及しないのは、青本にも書いてありますが、後の出願で関係ない事項が入ってしまう場合があるということです。
例えば
原出願A(イロ)→分割出願B(イロハ)
となった場合を考えます。
1.AとBとの間に他人の出願C(ハ)があった場合
29条の2が遡及すると、ハはBの公開によって公開されます。
したがって、Cは29条の2で拒絶されていまうことになります。
ハが子出願で勝手に入ったのに、かわいそうですよね・・・
そうなると、次に疑問が生じるのは「そもそもCの分割出願は不適法ではないか!」ということです。
確かにその通りです。
しかし、このハが入っているかどうかの判断は、Bの審査時になります。
したがって、先にCが審査されてしまうと、本当はBから勝手に入ったハで、Cが拒絶されてしまうのです。
だから、Cについては、29条の2については、遡及させないという例外になります。
この場合、原則はAも出願公開されるので問題有りません。
(短答試験では、Aを公開前に取り下げるというトリッキーなことをします・・・)
なお、39条は先願ですので、Cが登録になる状態でないと対象にはなりません。
したがって、この場合、Bは分割出願が不適法ですので、そもそも遡及することはありません。
2.AとBとの間に他人の出願D(イ)があった場合
この場合も、Bは29条の2において遡及しないので、DはBに基づいて29条の2では拒絶になりません。
ただ、Bの請求項にイが記載されていれば、39条においては遡及するので拒絶することが可能です。
なお、このままでは不適法なので遡及しないので、39条も遡及はしません。
この場合、Bからハを削除する必要があります。
なお、この場合でも、通常はAとの関係で拒絶になります。
短答の問題
短答の問題は、実務的に考えにくいトリッキーなことをやることがあります。
なので、最初の段階ではあまり意識する必要はありません。