短 答 本 試 験 お 疲 れ さ ま で し た !!!

質問について(短答本試験向け)

引き続き質問があったのでお答えします。

ゆうしゃ

短答の過去問について質問があります。
これ問特許127条のレア問[H18−51−ホ]の回答が○となっているのですが、以前Lゼミで行った第12回短答ミニ答練[11]では同様の問題が×となっておりました。
その他特許に関し登録した権利を有する者は質権者のみだから○と解釈するのか、条文では「質権者」と書いてあるから「登録した権利を有する者」の部分が×と解釈するのか教えていただけたらと思います。
お手隙の際にご回答をお願いいたします。

過去問は以下の問題です。

[H18-51-ホ]特許権者が訂正審判を請求するとき、承諾を要する者は、専用実施権者その他その特許に関し登録した権利を有する者のみである。

この問題ですが、没問に変更します。
なので、本試験ではこの聞き方で問われることはないと思いますので、気にしないで問題有りません。

出題時(H18年)は、通常実施権者と35条法定通常実施権者が含まれていました。
しかし、「特許に関し登録した権利を有する者」であれば、これらの者が含まれませんので、明らかに「×」の枝です。

その後、改正で通常実施権者の要件が問われなくなりましたので、条文上は「専用実施権者又は質権者」となっています。通常、受験生レベルであれば、「特許に関し登録した権利を有する者」と考えれば、質権者と考えても良さそうです。

しかし、令和5年貝瀬で、今度は特186条1項3号が追加になりました。

三 裁定に係る書類であって、当事者、当事者以外の者であってその特許に関し登録した権利を有するもの又は第84条の2の規定により意見を述べた通常実施権者からこれらの者の保有する営業秘密が記載された旨の申出があったもの

さて、ここで、この「登録した権利を有するもの」については、令和5年改正本で以下のように記載されています。

 「当事者以外の者であってその特許に関し登録した権利を有するもの」には、質権者、当該特許権の受託者(信託法第2条第5項)、当該特許権に対する差押債権者(民事執行法第167条第1項参照)等が含まれる(R5年改正本P.23)。

そうすると、過去問の問い方だと、微妙に「×」とも考えられます。
なので、条文上と違うので「×」という考え方でも良いのですが、改正前の問題のため、今回の問題は「没問」と考えて良いと思います。直前の連絡で申し訳ありません。

ゆうしゃ

特許法の過去問で、特許権侵害による損害賠償請求の具体的金額を算出させる以下の問題について教えてください。
H26-02
イの『特許法102条第1項第1号の規定により算出した甲の損害の額は、8000万円である』に対して、解答は、『× (1000万個−50万個)×10円=9500万円』と、なっています。
ただ、この9500万円に、『乙の販売数量中、甲が販売することが出来ないとする事情に相当する数量』(50万個)に、『甲が特許発明の実施に対し受けるべき物A1個当たりの金銭の額』(5円)を乗じた250万円を足した9750万円にならないのは、何故なのか教えて下さい。

1号のみを計算する問題だからです。ご質問の金額は2号の部分であり、102条1項の金額を聞いている問題ではありません。なお、出題当時は、2号に相当する条文がなかったので、当該金額を足すという考え方が出題当時はありません。

ゆうしゃ

[H30-商10-ホ]不適法な登録異議の申立てであって、その補正をすることができないものについて、登録異議申立人に意見を述べる機会を与えることなく決定をもって却下された場合には、その申立人は当該却下に対して不服を申し立てることができる。

に関しまして質問です。解答は×で、「第2項より不服申し立てできない」ですが、特135条の準用であり、「審決却下」だと思うのですが、問題文が「決定をもって却下」とあるので、どうしても特133条の方の言い方が想起され、「決定却下→不服申し立て可能」という回路が働いてしまいがちなのですが、「決定却下」という言い回しでも、審決での却下を指すのでしょうか。
「審決」も「広義の決定」のうちということなのでしょうか?解答テクニックとして「決定」か「審決」かで特133準用か、特135準用かを判断し、不服申し立ての可否も判断して問題を解いて来たので、「審決却下」を「決定却下」と書かれてしまうと、ちょっと迷ってしまいます。それとも、商標の異議申し立てでは、上記の問題の場合、実際に審判長1人で決定却下しているけど、不服の部分だけ特135条を準用しているのでしょうか?それとも、ただ問題文が、「審決」のことを広義の決定という意味で書いている、あるいは受験生を惑わすためでしょうか?

 追伸です。もちろん補正の可否は考慮には入れては
おりますが、
 補正出来ない→審決却下→不服申し立て不可
 補正出来る(補正しない)→決定却下→不服申し立て可
と考えるときに、決定却下となっていると迷ってしまうということです。

問題が異議申立だからです。異議申立については「審決」ではなく、例えば、「取消決定」「維持決定」となります。条文の言葉が審判長が決定を持って却下と似ているので気持ちはわかります。ただ、異議申立では審決という言葉は使いません。

135条を準用したとしても、準用というのはそのまま使うという意味ではなく、適宜読み替えることになります。
例えば、特許法38条は意匠法に準用されていますが、特38条では「特許を受ける権利を共有」となっています。
意匠法では訳がわかりませんので、この場合は、読み手が勝手に「意匠登録を受ける権利を共有」と読み替えます。

審決の条文も同じで、異議申立のときは、適宜「審決」は「決定」に読み替えています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

都内在住の弁理士。平成14年登録。
専門は特許(特にソフトウェア特許、画面UI、システム)。
LECで弁理士関係の講師。

目次