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質問について

ゆうしゃ
特29-9-ホによると、同盟国Xの分割の原出願と子出願両方からパリ優先権を主張して日本に出願できるようなのですが、H25-34(条約)-ハによると、同じようなシチュエーションで、「子出願は最初の出願ではないのでパリ優先権できない」という解説に見えます。どのように理解したら良いでしょうか

両方の過去問を比較します。

[H29-特09-ホ]甲は、発明イ及びロについてパリ条約の同盟国Xで特許出願Aをし、出願Aの出願後に、出願Aを分割して発明イについての新たな特許出願Bをし、その後、出願Aが取り下げられた。その後、甲が、我が国に出願Aの出願日から1年以内にパリ条約による優先権の主張を伴う発明イについての特許出願Cをする場合、出願A及びBの両方を当該優先権の主張の基礎とすることができる。なお、出願A及びBはいずれも、パリ条約第4条Aに規定する正規の国内出願とする。
[H25-34-ハ]パリ条約の同盟国Xにおいて出願され公開された特許出願Aの一部を分割して新たな特許出願とした特許出願Bのみを基礎とする優先権を主張して、パリ条約の同盟国Yに特許出願Cがされている場合には、出願Cの出願書類の全体により明らかにされた発明の構成部分のうち、出願Aの出願書類の全体により明らかにされた発明の構成部分については優先権の主張の効果は認められない。

優先権主張としては、両方とも認められます。
また、「はじめて」記載された内容は、そこからパリ優先権の効果が認められます。

仮に・・・出願A(イロ)→分割出願B(ロハ)

をしたとします。この場合、分割出願Bについての優先権は、ロについては最初の部分ではありませんので、優先権の効果は得られません。
しかし、ハについては、出願Bで初めて書かれているので、優先権の効果は生じることになります。

なので、H29の問題は「ハ」の部分について考えれば正しい考え方です。
例えば、Cがイハであれば問題ないでしょう。

また、H25の問題は「ロ」の部分について考えれば正しい考え方です。
例えば、Cがロハであれば、ロについては優先権の効果は認められないでしょう。

なお、分割出願の適法性については、X国での話ですので、この場合日本での審査には影響しません。

 

あと、大変お手数ですが、ご質問のときは、問題番号を正しく書いて頂ける(可能であればこれ問と同じ表記)と大変助かります。

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この記事を書いた人

都内在住の弁理士。平成14年登録。
専門は特許(特にソフトウェア特許、画面UI、システム)。
LECで弁理士関係の講師。

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