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特許法27条

特許法27条について質問があったのでお答えします。

特許法27条は、特許原簿への登録に関する規定です。
特許原簿は、不動産で言えば登記簿みたいなものです。
権利関係を明確にしてくれます。

目次

A.特許原簿

この「特許原簿」ですが、実は4種類あります。

特登令9条1項
特許原簿は、特許登録原簿、特許仮実施権原簿、特許関係拒絶審決再審請求原簿及び特許信託原簿とする。

1.特許登録原簿

一般的にイメージする特許原簿です。特許権の設定、移転、消滅といった特許権に関する事項、専用実施権に関する事項等が登録されます。
登録に関しては特98条と併せてみると効率が良いです。
また、特許異議の申立て又は特許無効審判、延長登録無効審判、訂正審判若しくは再審の請求があつたときは、職権で予告登録もされます(特登令26条)

2.特許仮実施権原簿

仮実施権の登録をする原簿です。なお、仮実施権の登録は特34条の4も参照して下さい。

3.特許関係拒絶審決再審請求原簿

特許出願等の拒絶審決については、登録になっていないことから原簿がありません。
この拒絶審決に対して再審を請求した場合に、再審の登録(特175条等)をするための原簿です。

4.特許信託原簿

信託の登録をするための原簿です。権利移転と信託とが特許登録原簿と、特許信託原簿と併せて登録されます。
信託については、深追いする必要なないと思います。

B.原簿登録事項

原簿登録事項が27条に規定されています。
登録の効果は97条等に規定されているので見比べると楽しいです。
なお、特27条3項に規定されているように、特許登録令をみるともっとたくさんあります。

特27条で解りにくい用語の意味は以下の通りです。

1.処分の制限

対象となる権利が、民事訴訟法等による差押え、税金の滞納による差押えのときに登録されます。

2.消滅

特許権が放棄により消滅した場合に登録され、登録が効力発生要件です(特98条)。
放棄以外の消滅(例えば特許料不納)の場合は、職権により登録されます(特登令16条1号)。

3.保存

特27条1項2号の専用実施権に規定がありますが、無視して下さい。
平成23年改正前は、当該条文は「専用実施権又は通常実施権」と規定されていました。
通常実施権の当然対抗制度の導入により「通常実施権」が削除されました。
この通常実施権の文言は削除したけど、保存の記載はそのまま残ったものと考えられます。
なお、通常実施権の保存とは、法定通常実施権を登録する場合(例えば移転の場合)の、保存登録のことです。
不動産の保存登記から来ている言葉だと思います。

4.信託による変更

信託法改正に伴い追加されたものです。
自己信託等は権利移転が生じないため、同一人格内に止まったままである場合に権利変動を明確化したものです。
信託の理解から必要になるので、それ程深追いしなくてよいかと思います。

 

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この記事を書いた人

都内在住の弁理士。平成14年登録。
専門は特許(特にソフトウェア特許、画面UI、システム)。
LECで弁理士関係の講師。

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