Lゼミが今年も始まりました

質問について(一般承継と事業承継)

メールにて質問(8/18)があったのでお答えします。

ゆうしゃ

短答これ問Ver24の特-142のH21-59-1(レア問)ですが、
92条の裁定通常実施権について解答では
一般承継により転移することがあるとなっております。
94条4項には事業と共にとしか書かれていないので、
事業と共にの中に一般承継の一部が含まれているから
という理解で正しいでしょうか。
ただ、その場合も一般承継だから転移できるのではなく、
あくまで事業と共だから移転できるのだと思われるので、
どう考えたらよいか質問させていただきました。

問題は以下の通りです。

[H21-59-1]甲は、特許法第92条第3項(自己の特許発明の実施をするための通常実施権の設定の裁定)の規定による特許庁長官の裁定を請求し、通常実施権を設定すべき旨の裁定を得た。甲の当該通常実施権は、一般承継により移転することがある。【★★】

ここで、一般承継は一例として相続と思って頂いて結構です。

さて、例えば、刀鍛冶であった甲さんが亡くなったとします。
甲さんは、生前は、自分の作った刀を含めて自宅兼店舗で刀を売っていました。
甲さんが亡くなったので乙さんが相続しました。当然自宅兼店舗も乙さん名義になります。

このとき、乙さんは刀鍛冶もする必要があるのか?というと、それは別です。
相続はしたけど、お店は辞めてしまうということがあります。
また、もともと乙さんもX代目として甲さんの元で刀鍛冶だったとします。
そうすれば、きっと甲さん亡き今、乙さんがお店を継ぐでしょう。

一般承継と事業を引き継ぐかは別の話です。
本問は、一般承継により「移転することがあるか?」と聞いています。
したがって、事業も承継したのであれば、裁定通常実施権も移転することになります。

逆に、もし、一般承継はしたけど、事業を承継しななければ、裁定通常実施権は移転されません。

ということで、一般承継に含まれているという訳でなく、それによって事業承継がされるかどうかは別になります。

本問では「することがあるか?」と聞かれているので、することができる事例が1つでもあれば「○」の解答になります。

なお、同様の論点は、団体商標(地域団体商標)の構成員の地位等でも出題があります。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

都内在住の弁理士。平成14年登録。
専門は特許(特にソフトウェア特許、画面UI、システム)。
LECで弁理士関係の講師。

目次