放棄で請求項削除と仰っていましたが、放棄とは特許権等の放棄
という権利の放棄しか出来ないのではないでしょうか。
請求項の放棄というものはあるのでしょうか。あるとしたら、どの条文に書いて
あるのか教えてください。
質問がありましたので、お答えします。
1.訂正と放棄について
まず、訂正と放棄とですが、これは異なる手続です。
そもそも効果が違います。
訂正は「遡及効」に対して、放棄は「将来効」です。
また、手続も放棄は簡単にできるのに対し、訂正は訂正審判を請求する必要があります。
講義の中で「訂正と放棄とは同じ」と使っているときは、2つの手続の「イメージ」を理解して欲しいときです。
2つの手続とも権利がなくなるというイメージ(訂正も請求項を削除すればなくなります)というのを
付けて欲しいということです。
なぜこの話をしているかというと、
「放棄時に承諾を得る者」(97条1項)と、「訂正時に承諾を得る者」(127条)とが同じという話にしたいからです。
2つの規定を別に覚えず、まとめて理解していただけるように話している内容です。
ちょっと誤解を与えてしまう表現かもしれません。
あまり効果の話を強調していなかったので、今後はその点に触れたいと思います。
このように、勘違いしそうな点を指摘して頂くのはありがたいです。
2.特許権について
特許権ですが、特許権は請求項毎にあるものです。
したがって、請求項毎に放棄は可能です。
これは、185条で特許権は請求項毎にあるという規定があり、この中で98条1項1号が準用されています。
また、98条1項1号は特許権の放棄による消滅が登録による効果があると記載されているためです。
なお、特許権の放棄は、「特許権の権利の放棄による登録の抹消」という手続を行います。
このとき、請求項の一部放棄は、特許権の一部抹消という手続を行います。
(特許サイトより)
ここで、「一部放棄に係る項目」において、放棄する請求項を特定します。
なお、勉強する上で、とりあえずは規定の内容を理解するだけで十分です。
条文がどうなっているかを、あまり細かく意識しなくても大丈夫です。
条文を意識しなければいけないときと、内容だけを抑えておけば良いときがあります。
条文が必要なときは講義で説明しています。
逆に講義中で条文の説明を細かくしてないときは、まず規定の内容を理解すれば十分です。
例えば、上の特許権毎に放棄出来る規定については条文番号を押さえても点数に直接繋がらないためです。