Lゼミが今年も始まりました

質問について[H21-60-5]

質問をいただいたので回答します。

ゆうしゃ

先生、商標法54条のレア問H21-60-5について、
解答に記載の理由に納得が出来ずにいます。
50条1項の不使用取消審判で取り消された場合、審判請求の登録日に消滅するため、商標権が存在する期間が残っていると思いますが、
不使用取消審決が確定した段階では、既に、商標権が消滅してる、ということを書いているのでしょうか?

該当過去問は以下の過去問です。

[H21-60-5]商標権侵害訴訟提起後に、当該訴訟に係る商標権について商標登録の取消しの審判(商標法第50条第1項)の請求がなされ、口頭弁論終結前に当該商標登録を取り消すべき旨の審決が確定したときは、当該訴訟においては差止めの請求が認められることはない。

本問は、差止請求が認められるか否かについて問われている問題です。
差止請求については、口頭弁論終結時に商標権が存在している必要があります。
本問の場合、口頭弁論終結前に、不使用取消審判において商標権を取り消す審決が確定しています。
このため、審判請求の予告登録時に商標権は消滅し、口頭弁論時に商標権はありません。
したがって、当該訴訟において差止請求が認められることは有りません。

なお、商標権が存在する期間が残っているかについては、損害賠償請求の訴訟では問題になります。
差止請求訴訟においては、過去に商標権があったか否かは関係ありません。
ざっくりとしたイメージですが、損賠賠償は過去のこと、差止請求は今から未来のこととイメージを持って下さい。

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この記事を書いた人

都内在住の弁理士。平成14年登録。
専門は特許(特にソフトウェア特許、画面UI、システム)。
LECで弁理士関係の講師。

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