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意3条の2について

引き続き同じ受講生さんから質問がありましたので回答します。

H29-意4-5
本問のように、先願:全体意匠(イ)「自動車」vs 後願:部分意匠(ロ)「自動車のおもちゃ」のバンパー部分の場合、
バンパー部が類似しており他の3-2の適用条件が満たされていても、物品非類似のため3-2の適用なしと認識しています。

そもそも3条の2には物品の同一類似は関係ありません。
したがって、「物品非類似のため3条の2の適用はない」という考え方ではありません。
例えば、全体と一部の場合は、以下のように判断を行います。

先願に係る意匠として開示された意匠と後願の全体意匠とが、①先願に係る意匠として開示された意匠が全体意匠であるか物品等の部分について意匠登録を受けようとする意匠であるか、②先願に係る意匠として開示された意匠の意匠に係る物品等と後願の全体意匠の意匠に係る物品等が同一、類似又は非類似のいずれであるかを問わず、先願に係る意匠として開示された意匠の中の後願の全体意匠に相当する一部と、後願の全体意匠の意匠に係る物品等との用途及び機能が同一又は類似であって、それぞれの形状等が同一又は類似である場合、審査官は後願の全体意匠と先願に係る意匠として開示された意匠の中の後願の全体意匠に相当する一部とは類似するものと判断する。
そのうえで、以下3点質問させてください。
1.先願:全体意匠vs後願:部品意匠の場合、および、
先願:組物/内装の意匠 vs 後願:構成物品の場合
についての物品類似の考え方ですが、
意匠出願に掛かる物品が非類似だとしても(例:自動車vs自動車用バンパー)、先願の意匠公報発行により先願の意匠が重畳的公知になるため、
物品類似になるという理解でよろしいでしょうか?

ご指摘の「自動車」と「自動車のおもちゃ」では用途及び機能は異なりますので適用がないということになります。
、重畳的公知という考え方は自分は講義でも使っていないため、説明をしていません。
なお、そもそも3条の2の話ではありません。

2.先願:部分意匠(例:「自動車」のドア(その他の部分にバンパー))vs後願:部品意匠(例:「自動車用バンパー」)の場合は、物品類似/非類似のどちらとなるでしょか?また、その結果、3-2の適用はあり得るのでしょうか?
※入門テキストp34には記載がなかったので、物品非類似となり、3-2の適用はないのだろうと推測しています。
一方で、1の重畳的公知のロジックで部分意匠の”その他の部分”もそれぞれ公知になっていると考えると、物品類似となり、3-2の適用もあり得るとも考えられ、
迷子になってしましました。

先願が自動車全体が開示されており、後願に記載されているバンパーが含まれているのであれば、3条の2の適用になります。用途及び機能が同一だからです。
自分は審査基準の考え方で判断をしておりますので、重畳的公知の説明はしておりません。
自分の講義では、出願意匠と公知意匠では物品の見方を変えてくださいと話している部分になります。

3.先願:部品意匠vs後願:部分意匠の場合は、例外なく3-2の適用なしと理解してよろしいでしょうか?

部品意匠というものは本来ないのでどこまでをいうのか難しいとは思います。
自転車のハンドルを自転車の部品というのであれば、先願自転車のハンドル、後願自転車のハンドルのブレーキ部分における部分意匠ということで3条の2の適用はあります。

全体的に「物品」の考え方に引っ張られている心証です。
意匠登録を受けようとする用途及び機能で判断して頂けるとよろしいかと思います。

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この記事を書いた人

都内在住の弁理士。平成14年登録。
専門は特許(特にソフトウェア特許、画面UI、システム)。
LECで弁理士関係の講師。

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