知財高判 H30.5.30 平成30年(行ケ)10009号

判決概要

意匠法3条2項所定の「公然知られた」というためには,意匠登録出願前に,日本国内又は外国において,現実に不特定又は多数の者に知られたという事実が必要である。

判決要旨

本件は,意匠に係る物品を「中空鋼管材におけるボルト被套具」とする本願意匠について拒絶査定を受けた原告の審判請求について,特許庁がした請求不成立審決の取消しを求める事案である。原告は,取消事由として,創作容易性判断の誤りを主張した。

本判決は,概要,以下のとおり判示して,原告の請求を棄却した。

意匠法3条2項は,公然知られた形状等に基づいて容易に意匠の創作をすることができたときは,意匠登録を受けることができない旨を規定している。公然「知られた」との文言や,同条1項が,刊行物に記載された意匠(同条1項2号)と区別して「公然知られた意匠」(同条1項1号)を規定していることと対比すれば,「公然知られた」というためには,意匠登録出願前に,日本国内又は外国において,現実に不特定又は多数の者に知られたという事実が必要であると解すべきである。

引用意匠1の記載された公報(昭和54年公開)及び引用意匠2の記載された公報(昭和63年公開)が,いずれも,本願意匠の登録出願時まで長期にわたって公然知られ得る状態にあって,現実に不特定又は多数の者の閲覧に供されたことが認められることによれば,当該公報に記載された引用意匠1及び2に係る形状が,現実に不特定又は多数の者に知られた事実を,優に推認することができる。

建築部材の分野における当業者であれば,引用意匠1のボルトカバーに,引用意匠2の形状を適用して,本願意匠の形状とすることは容易になし得ることであるから,本願意匠は,当業者が,引用意匠1に,引用意匠2を適用して,容易に創作することができたものと認められる。